ブルーなポップと中空ロック

何となしに音楽の話をしています。

26.STAND BY ME/Base Ball Bear

日本のアオハルロックバンド、Base Ball Bearの曲。

趣向を凝らした展開がポップに仕上がったベボベらしい曲。コーラスがかったアルペジオと静かな歌い出し、2拍子3拍子のブレイクを盛り込んだリズム、メロから一気にキーの下がるサビ、2番で突然入るマイナースケール感のCメロ…目まぐるしい展開と、そこで繰り広げられる目くるめくボーイミーツガールの詞世界に胸が熱くなるな

 

本曲はベボベがメジャーデビュー後最初に出したアルバムに収録されている。些か大げさではあるけど、このアルバムはそれまでのナンバガフォロワーの色の強かったベボベが、そのオリジナリティを確立させた1枚だと感じた。ナンバガの1stもベボベのインディーズ時代もある種のダサカッコよさ的な味があったが、ナンバガが以降その青春〜精神を劇画調に掘り下げ己が道を往った一方で、ベボベは持ち前のコードセンスや演奏技術も駆使し、より鮮やかに彩り大衆的なものへと昇華させていったように思う。本曲もそんなベボベの気概が見てとれるような、挑戦的であり普遍的でもある曲に感じる。個人的にベボベでは不動のトップ。

STAND BY ME

STAND BY ME

25.ワンナイト・アルカホリック/ハヌマーン

日本のオルタナバンド、ハヌマーンのミニアルバム中の一曲。

200近いBPMのGメジャーで描かれるのは鬱屈した青春パンク…合ってるような合ってないようなキャッチですね。疾走感溢れる曲で、ドラマーなんかが半狂乱で演奏する様が容易に想像できる。だがメロのⅣm→I的進行の何かひっかかるような響きが、そんな疾走感の一辺倒とはいかない独特の雰囲気作りに一役買っており味わい深い。アウトロで突然出てくる単調なギターはアルカホリックを感じる。

 

ハヌマーンは歌詞を売りにしているだけあり、文語的な言い回しや変わった比喩が出てきて面白い。筆者も昔は仰々しい表現に面食らってむしろ曲目当てで聴いていたものだが、ふと思い出して聴いてみるとそんな歌詞もなかなかに沁みるものがあった。この曲はそういう特異な表現という感じのものではないけども、こぢんまりとパッケージされた短編小説のような良さがあると思う。

 

 

24.It's Real/Real Estate

アメリカのインディーバンドReal Estateの2ndアルバムの一曲。PVがあるのでリードトラックなんだと思う。犬がたくさん出てきてかわいい。

田舎の香り漂うリフ、3小節単位(1+2みたいにもなってる)のメロ、サビの(^ω^)的コーラスなど個性的な趣向に溢れた曲で、好み如何に関わらず印象に残ることうけあいであろう。間奏はシンセにバッキングのエフェクトも盛り上がり彩り鮮やかな感を受ける。

 

Real Estateの曲はコードチェンジが多かったり、フレーズの分けが普通と異なっていたりと、一筋縄でいかないものが多く個性的だと思う。そんなふうに書いてしまうと何やらいかめしい感じもするが、ボーカルや演奏は非常にマイルドであり、そんなバンド全体の雰囲気のおかげで技巧的なクセも幾分か丸みを帯び、親しみやすい仕上がりになっている…のかもしれない。

It's Real

It's Real

 

MMXXに行ってきた話

表題の通り、昨日大阪城ホールにて行われたL'Arc〜en〜Cielのライブに行ってきました。ラルクのライブは競争率的な理由もあり半ば諦め状態でしたが、ご縁があり8年前のワールドツアー振りに参加出来ることとなりました。めっちゃ良かったです(小並感)

セトリ順に雑感を述べていくので閲覧の際はいちおうご注意ください。

 

 

 

 

 

1.HONEY

のっけから耳をつんざくダブルギターが良し。振り返ると今回のセトリはハードな曲が多かったので、結果論だけどこのライブの開幕を飾るに相応しい曲だったように思う。

2.Round and Round

ノンストップで2曲目。短く勢いのある曲が2連続、テンション上がるなぁ〜。今のhydeさんのドスの効いた声のが曲に合ってていいよね。こういう曲はアホほどテンポ上げるイメージがあるけど今回は割と原曲くらいだった気がする。

3.Lies and Truth

続けざまに3曲目。ギターソロの音がものすごく良く抜けててとても気持ちよかった。改めて聴いて王道の構成に各パートの面白さもあり完成度の高い曲だなと感じた。照明GJ。個人的にライブで聴きたかった曲その1。

 

4.Pretty Girl

2セクションめ、またまた勢いある一曲。出だしからのドラムのドコドコが心地いい。展開が割と難しい曲な気もするが会場もバッチリ盛り上がってて良かった。

5.Vivid Colors

2曲目、古いけど色褪せぬ名曲。アコギがなくて他の楽器がよく聞こえるので、清涼感あふれる音源とはまた別アレンジのような仕上がりになってたと思う。

6.LOVE FLIES

3曲目、打って変わってヘビーな曲。各々の一音一打にうま味があってシブイですねこれは…。kenちゃんのコーラスがアツい。個人的にライブで聴きたかった曲その2。

 

7.瞳の住人

3セクションめ、ふつくしい舞台演出からのバラード。こんな序盤で出てきたのにはちょっと驚き。奇跡のhihiA♭、生で聴けて良かった。

8.XXX

2曲目、落ち着いてきたところでダークな曲。無音とかoriginal sinのとことかとにかくかっけー!ベースが指弾きなことに初めて気づいた。

9.DRINK IT DOWN

3曲目、続けてダークな曲。サビのドラムのフィルの16分がもういちいちかっこよかった。先生の曲らしくBメロやCメロのリズムがアクセントになってて良い曲だと改めて感じた。

10.Shout at the Devil

続けてダーティながらブチ上がる一曲。こういうゴリゴリの曲はやっぱライブ映えしますね。前曲に続いてユッキーさんがバリバリでかっこいい。

更にここでドラムソロ。もうどうなってるのかわからん。あの細い躰にどれほどの体力と精神力を備えているのか…

 

11.REVELATION

4セクションめ、ライブでは定番…かどうかは知らんが、お祭り騒ぎの曲。近年はライブで色々はっちゃけてる印象だが、今回も各々ギター担いで舞台端までせり出してくるユニークなステージとなっておった。コールがはまって満足。

12.SEVENTH HEAVEN

ホール一周ウェーブが決まり(?)、閑話休題ダンサブルな一曲。ギターのぐわんぐわんが気持ちいい。この曲だったか、kenちゃんが後ろうさぎ跳びみたいに中央に戻っていくのが抜かれててかわいらしかった。

13.Driver's High

kenちゃんのモチ話と眼事情、エンジンの茶番()を経て往年の名曲。これもコールが楽しい曲ですね。Cメロを会場全体で歌うのを聞いて、こんな暗い歌詞をこんなキャッチーなメロディで合唱しているという状況に不思議な高揚を覚えた、気がする。

ここでベースソロ。もはやギターソロです。ライブを通してだけど、てっちゃんは本当にあのベース譜をコーラスやりながら弾いているんだな…と感嘆した。

14.STAY AWAY

ベースソロで何となく察したが、続いての一曲。この曲のベースソロ(ソロだけではないが)も聞き入ってしまった。セトリに休める隙がなさすぎる。。

15.READY STEADY GO

本編ラストも最後まで止まらぬ曲。シンプルなドラム、王道のギター速弾きがなんだか良かった。hydeさんが楽しそうで何よりです。リリース当時は再始動の曲的な位置づけだったことを思うと、このライブの最後にこれを歌ってくれたということには意味を感じずにはいられませんね。

 

16.ガラス玉

アンコール、ふつくしい舞台演出とギターソロを経て静かなバラード。たまりませんね。全員のよさが出ていたと思う。個人的にライブで聴きたかった曲その3。

17.TIME SLIP

ラルカフェ話、パスタ話、昔話の流れからの隠れた名曲。MCの印象のせいか、音は違えど音源のような独特のせつない空気感が出ていた気がする。懐かしくなって終演後の電車で何回か聴いた。

18.風にきえないで

アンコール3曲目、そんな空気を吹き飛ばすような爽やかな一曲。本編が比較的メジャーどころな曲目だった分かアンコールはけっこうコアな曲ばかりになっておる。ご無沙汰すぎてリフ聴いてもなんの曲だか思い出せなかった…。みずみずしい。

19.I'm so happy

4曲目、またまた初期の名曲。入りのドラムがいいよね。元からバンドサウンドな曲だからかライブでもすごくしっくりくる演奏で良かった。個人的にライブで聴きたかった曲その4。

20.ALL YEAR AROUND FALLING IN LOVE

最後の〆はやさしい一曲。風にきえないで同様かなりうろ覚えになっており、若干悔いが残るラストになってしまった。ゴリゴリ揃いのアルバムREALのトリたるこの曲は、その点ではこのライブの最後には相応しいかもしれない(こじつけ)

ムキンポくんチャンスは選外というところでしょうか。無念。

 

 

こうして振り返ると今回はなかなかに勢いのあるライブだったんだなーと思わされます。あと欲を言えば全体的にベースの音がもっと聞こえてほしかったかな…最近バンドの大きい箱のライブに行ってないせいで感覚がおかしくなってるのかもしれませんが。。

まあ色々書いたけど正直予想よりはるかにステージが近かったせいでライブの内容とかあんまり覚えてないんですよね。ライブに行くと毎回バカ騒ぎして、終わってから真面目に演奏聴かなかったことを後悔し次はちゃんと聴こうと意気込んで、次行ったら結局またバカ騒ぎして、みたいなサイクルが延々と続いており…困ったものです。

それはさておき、まだ生で聴けていない聴きたい曲もたくさんありますが、ラルクでこれほど好条件なライブは今後はないだろうなと思えるくらい素晴らしいライブでした。終わり!

teendriver

年も明けたということで、それっぽいお話をひとつ。

今年の目標は、①言いたいことは言う、②たくさんの作品に触れる、③新しいアルバムを作る、の3つ。

①:何も言わないと損ばかりするようなので、とりあえず疑問があれば言うことを心がけたい。色々と拗れすぎない範囲で。

②:音楽にせよ漫画にせよ、最近は好きなものを食いつぶすような嗜み方になってきている気がするので、何となく気になるとか、好きなジャンルの延長上にあるとかでいいから、いろいろな作品を知りたい。今は映画に興味があり巷で流行りの動画配信サービスを検討中だが、art-schoolで題材になっている古い洋画などはどこにも取り扱いがないようで悲しみに暮れている。気が向いたら感想などブログに書くかもしれない。

③:去年は昔作った曲や思いついた曲9曲をデモアルバムと称してまとめることができたので、今年も年内にアルバム級にパッケージできるよう曲を作りたい。曲のテーマが浮かばないと何もできないので、いろんな物事や作品から知覚するものを絞り出していきたいところ。12曲くらいいきたいなー…

去年のデモアルバムはSoundCloudApple Music等で全曲配信中です(隙あらば宣伝)

 

そして、今回は上記のデモアルバムから「teendriver」の歌詞を掲載します。無骨ですが、個人的にとても気に入っているので聴きながら読んでいただければ幸いです。

 

カーステレオ フルボリュームで

自由になれる そんな気がした

僕の手には 割れたリンゴ

夜明けの街 置いていこうぜ

汚された夢

I dream, sunshine

フラッシュバック 狂気を抱いて

my dear, sunshine

フラッシュバック 狂気を抱いて走れ

 

褪せた日々は 息を切らす

エピゴーネン 笑えばいいさ

血に染まった 罪の痕は

安いアルコールとタールの色

未来は死んだ

I dream, sunshine

フラッシュバック 狂気を抱いて

my dear, sunshine

フラッシュバック 狂気を抱いて走れ

 

何となく悲しい気分

それが僕のすべてだった

僕の手には 空っぽのケージ

夜明けの街 置いていこうぜ

綺麗な瞳

憧れていた

I dream, sunshine

フラッシュバック 狂気を抱いて

my dear, sunshine

フラッシュバック 狂気を抱いて走れよ

 

I dream, sunshine

フラッシュバック 狂気を抱いて

my dear, sunshine

フラッシュバック 狂気を抱いて走れ

23.雪、無音、窓辺にて。/長門有希(茅原実里)

小説・アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の登場人物、長門有希のキャラクターソング。

無機質な打ち込みのドラムとSE、そこに乗る情感のこもったストリングスがキャラクター性を表現するエモーショナルな曲。音数の少なさかミックスの妙か、壮大になり過ぎず、ごたごたすることもない音の仕上がりになっている。

歌詞は、角ばった言葉や客観の印象を受けるメロから、内にある願いが溢れるようなサビへとドラマチックに繋がっている。茅原実里さんの歌い上げるボーカルと低めのコーラスの重なりは、冷たく閉じた空間で熱を持って踊り出すような何かこう…最高です。サビの最後、ビートがなくなり曲が止まる感覚の中で囁くI was snow~ がまさに有希、無音、窓辺にて。って感じ。

 

本作においてもみのりんの歌唱力は疑いようのないところではあるが、この曲の頃は(決して悪い意味ではなく)後年のソロデビュー以降のある種の神々しさというか、確立された歌唱とまでは至っていないように感じる。精確な歌唱、クリアな声質と少しの拙さ?は、アンドロイドにヒトの心を灯し始めた長門というキャラから生まれたこの曲に彩りを添えるようにすら思える。ハルヒのキャラソンは好きな曲ばかりだけど、その中でも特に好きな曲。

 

雪、無音、窓辺にて。

雪、無音、窓辺にて。

 

22.Dune/L'Arc〜en〜Ciel

本ブログで2回目の登場となるL'Arc〜en〜Cielの、メジャーデビュー前のアルバム曲。

曲を通じて流れるコーラスの効いたギターが歌詞やタイトルと相まって異国の風景を連想させる。ドラムはAメロからサビまでシンプルな8ビートで重い刻みが際立つ。そこに乗って高まるボーカルがエモい。サビの歌唱がエモい。ベースのブレイクで緊張した空間に広がる歌声がとても好き。

冒頭のシンセに始まり各々にニセ3連符みたいな形のフレーズが聞こえ、イントロのギター(とベース)→メロのベース→サビのボーカルと受け継いでいくような捉え方ができるようにも思える。

 

この曲が収録されたアルバムにはクセの強い曲や傑作と称される曲もあるが、本曲がいちばんオールラウンダーな感があるように思う。tetsuyaさんはこの頃からそんなポップな感性を発揮していたのだなぁ…としみじみと勝手に思い入った。久々に見た20周年ライブのBDが良すぎて良すぎてたまらず綴ってしまったのでした。ティヒヒ

Dune

Dune

  • L'Arc〜en〜Ciel
  • ロック
  • ¥255