ブルーなポップと中空ロック

何となしに音楽の話をしています。

Lesser Matters / The Radio Dept.

少し前、長らく使い続けたiPodiTunesから曲を吸い出してくれなくなり、暫くは悲しみに暮れていたが、先日思い立って自力での再生を試みた。結果的に概ね正常に動くようになり性能面で向上した部分もあったが、自分の不手際で余計な費用がかかったり、翌日の活動に影響するレベルで疲弊するなど、総じてプラスになったのかというのは何とも微妙なところである。当然といえば当然だが、手順よりも構造を理解すること、パテナイフを準備しておくこと、それらが今回の教訓だろうか(これ自体には次が無いに越したことはないのだけれど…)。ともあれ何より成功したこと、それによって何とかなるのでは的な発想が現れたのは良しとしよう。出先でこれ見よがしにひけらかしてゆくのだ。

The Radio Dept.の音楽は、ピンクノイズめいたエフェクトと、打ち込みドラムやシンセの電子音の感が特徴としてみられ、作品を重ねその洗練とともに後者の比重が大きくなっているように思える。「Lesser Matters」は同バンドの1枚目のアルバムであり、その萌芽はみられるものの、ざらりとしたノイジーな音が印象的な曲が多い。曲の構成は、明確なサビを持つものがほぼない、ボーカルは遠くまたバチっと盛り上げたり解決したりする場面も少ない、といった要素が全体としての浮遊感につながっているように思う。歌は短いフレーズでじんわり聴かせる分、オブリがしっかり効いてくる曲も多く、「Why Won't You Talk About It?」や「Ewan」のサビ、「Against the Tide」のアウトロのフレーズはシンプルながらとても良い。