ブルーなポップと中空ロック

何となしに音楽の話をしています。

Just Kids. ep / Art-School

好きなアーティストがこれまでと異なるテイストの曲を出したことによる「変わってしまった」という落胆は、音楽が好きな人にとってはある種あるあるネタにも近しい感情なのかもしれないし、私にもその覚えがあった。そのアーティスト個々人の聴いた音楽、読んだ本や映画、ひいてはその時の社会情勢や個人の境遇によって、それらから産まれる作品が変わっていくことは、考えてみれば仕方のないことと、今となっては思える。自分と同じ、それぞれの人生を生きる人間としてアーティストを見れば、価値観が移ろうことには何ら違和感はないかもしれないが、趣味嗜好の対象の一つとしてアーティストを見れば、その人に求める音楽性それ自体をその人と定義し、結果そこから外れることに落胆してしまうようになるのだと思う。とはいえ自分の作品を売り物にしている以上は、客のニーズに応えるという意味では失敗なのかもしれないし、そう思わせない戦略なんかが必要なのかもしれないのだけれど。

 

「Just Kids. ep」は、Art-Schoolの作品としてはあたたかい印象を受ける。どの曲も比較的ミドルテンポ寄りで、かつリズムやバッキングのゴリゴリとした感覚がそれほどなく、聴きやすい仕上がりになっている。アルペジオであったりボーカルに寄り添うようなオブリ重点のギターがそう感じさせるのかもしれないし、復帰作かつ4曲epということでアレンジはあまり凝らずにありのままを出した、といったこともあるのかとも想像した。ボーカルや詞は相変わらず暗さ・救いのなさを感じさせるのが、そんなでもぼちぼちやっていきましょう、というふうな(諦観の後段にあるにせよ)ほのかな明るさもある気がして、Art-Schoolとともに成長して年経たファンには特別な感慨をもたらすのだろうなと、あるかないかは分からないけれども、そんなことをしみじみと思ったりもした。憂鬱な夜にも何もない昼下がりにもまるっと聴きたいep。

あと、「Just Kids」のMVはもっともっと再生されていいと思う。

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