ブルーなポップと中空ロック

何となしに音楽の話をしています。

16.ピアノガール/くるり

当ブログでは2度目の紹介となるくるりの、メジャー2枚目のアルバム「図鑑」の中の一曲。

ピアノとボーカルのみの変化球な曲。途切れたりヨレたりの不器用なピアノと、岸田繁さんのささやくような静かな歌い上げがよく合っている。特筆すべきはその歌詞で、どんなことでも出来てしまう彼への劣等感とも畏敬ともとれるような感情が、事実の羅列とその終わりにポツリと出てくる私のお願いという構成で巧みに表されているよう。淡白な演奏と合わさって妙な怖さを醸し出している。

 

くるりの歌詞は言葉少なな詞のなかにも言外の余韻のようなものが多く感じられ、それが本曲のような(あまりないケースだが)狂気であったり、温もりであったりと、曲を聴いたときにイメージとして広がるように思える。もちろんそれはコードや演奏、その相乗にもよるのだけども。くるりは一聴してアルバム毎に別のアーティストになったかのような音楽の変貌が見られるが、その妙は変わらずに在り続けているものだと思う。